Web を活用した資料収集から参考文献の書き方までのレポート作成の手順について紹介します。
次の6つのステップを行きつ戻りつしながら進めていきましょう。
以下のガイドブック等も活用しましょう
電子ブック 図 書
動画「はじめてのレポート作成」 レポート参考例[PDF]
ステップ1 課題を正しく理解する
1.1 何を書くべきかを理解する
(1)テキストやプリント、シラバス記載の参考資料、入門書等を読み、何を書くことが求められているかを正しく理解する。
(2)事典・辞書サイトやメディアセンターの事典・辞書を使って、課題に関連する言葉を検索し、概要や意味を正しく理解する。
インターネット百科事典として有名だが、誰もが自由に編集できるため、情報が間違っていたり、偏ったりしている場合がある。レポートは信頼性が重要なので、ウィキペディアをそのまま使用してはいけない。以下の手順で、情報が信頼できるものか確かめる。
- 出典(引用・参考にした著作物)を探す。ウィキペディアのページ下部に「出典」が記載されている場合がある
- 出典の作者が信頼できる研究者・専門家・機関・団体であることを確認する
- 出典にその情報が本当に書かれているか、原文を自分で確かめる
- レポートに引用する場合は、ウィキペディアではなく、出典を使う
大学が契約している事典・辞書データベース「ジャパンナレッジLib」は、引用してよい。
【参考】ジャパンナレッジを使ったレポート作成法 [PDF] 2020年度版、ジャパンナレッジより
生成系AIの利用については、大学の方針が示されているので確認すること。また、授業担当教員等が許可しない限りは、利用できない点に注意すること。
【重要】
・AIは学修支援活動における支援ツールとして利用し、主体的に学ぶこと。
・個人情報等の取り扱いには十分注意すること。
・AIが出力した文章を、そのまま自分が書いた文章として提出することは剽窃(他人が書いた文章を盗用すること)となる。
- レポートで利用する際は、以下の点に注意すること。
- AIに出典を提示させること。出典が明確でない場合には引用しない。
- 生成AIの回答は間違っている場合があるので、出典を自分で確認すること。
- 引用する場合には、「引用のルール」を守ること。
*出典や引用については、引用のしかたや引用・参考文献リストを作る を参照。
概要や意味を検索できるデータベースや調べ方がわかるサイトを案内しています。
1.2 どのように書くべきかを理解する
(1)大学でのレポートには、大きく分けて次の3種類がある。課題がどの種類かを見定め、どのように書くことが求められているかを理解する。
- 読書レポート
指定された本を読んで、内容をまとめる。批評や考察を加える場合もある。
《課題例》本を1冊読み、要約しなさい。 - 報告型レポート
調査や実習等をおこなった結果をまとめ、分析する。
《課題例》音楽配信サービスの現状を調べてまとめなさい。 - 論証型レポート
問題や疑問に対する答えを示し、その根拠を資料等を使って論理的に説明する。
《課題例》地域活性化について論じなさい。
(2)レポートの作成・提出方法を理解する。
文字数、用紙サイズ、表紙の有無、使用する資料、提出期限・場所。
ステップ2 テーマを考える
(1)テーマは、教員から具体的に指定される場合と自分で設定する場合がある。
《具体的な指定の例》若者の車離れが進んでいるのはなぜか論じなさい。
《テーマ設定が必要な例》文化について自由に論じなさい。
(2)テーマを自分で設定する場合は、次の基準で選ぶとよい。
- 興味や関心がある
- 論じる価値がある
- 関連する資料がほどほどにある
テーマが広すぎると、提出期限内にまとめられない。また、テーマが狭すぎると、関連する資料が見つからない。テーマは適度に狭めて設定すると書きやすい。
- 対象者を絞る→「若者のファッション文化」
- 時代や地域を絞る→「90年代前半における渋谷の音楽文化」
- 比較する→ 「日本と中国の食文化の違い」
- 原因や理由を探る→ 「なぜ日本文化が外国人に好まれるのか」
- 解決策を提案する→ 「出版文化の問題と解決策」
ステップ3 資料を探して集める
テーマに関する資料(図書、論文、新聞記事等)をWebサイト等を検索して集める。
(1)キーワード テーマの概要を調べて(ステップ1.1参照)、的確なキーワードを考える。
考えたキーワードで検索してもうまく探せなかった場合は、別の言葉に言い換える。事典・辞書サイトで類語を調べると別の言葉を見つけやすい。
- 同義語や類義語 → スイーツ、デザート
- 関連語 → おやつ、製菓
- 上位語や下位語(より広い、または狭い概念の言葉)→ 食品、洋菓子
- 単語間を空白で区切る → 菓子 業界
(2)集める資料は、以下の2つの条件を満たすようにする。
- 資料の作者が、信頼できる研究者・専門家・機関・団体であること
- 資料を複数集めること (1つの資料だけで判断せず、さまざまな立場や意見の資料を集める)
動画「はじめてのレポート作成」等を視聴できます。
3.1 図書を探す
まずメディアセンターの図書を探す。図書を読むと、テーマに関する知識や全体像がわかる。
*画像はスマートフォン画面の例。画像を押すとパソコン画面例が表示される。
(2)関連資料が一覧で表示される。タイトルを押す。
(3)詳細画面が表示される。読みたい場合は、所蔵情報の [状況] が「利用可能」であることを確認し、[請求記号] をメモして、[所在] の場所へ行く。詳しい探し方はこちら
3.2 論文や雑誌記事を探す
Webや雑誌に公開されている論文や記事を探す。論文や記事を読むと専門知識や最新情報がわかる。
(4)(2)のメディアセンター検索結果一覧画面に戻ってから、[論文検索サイトで探す] の中の [Googleスカラー] を押す。
(5)新しいタブが開き、Google Scholar の検索結果一覧が表示される(一覧画面の見かたはこちら)。タイトルを押す。
(6)論文が公開されている場合は、PDFか、PDFをダウンロードできるサイトが表示される。 *無料公開していない論文を読みたい場合:メディアセンターサイトで論文を掲載している雑誌名を入力して検索する。所蔵していなかった場合はカウンターへ相談する(レファレンスサービス参照)
(7)(2)のメディアセンター蔵書検索の一覧画面に戻ってから、[論文検索サイトで探す]の中の [CiNii] を押す。
(8)新しいタブが開き、CiNii Researchの検索結果一覧が表示される。
(9)詳細画面が表示される(詳細画面の見かたはこちら)。本文等へのリンクがある場合は、オレンジ色のボタンが表示されるので押す。
(10)PDFをダウンロードできるサイトが表示される。
*無料公開していない論文を読みたい場合:メディアセンターサイトで論文を掲載している雑誌名を入力して検索する。所蔵していなかった場合はカウンターへ相談する(レファレンスサービス参照)
論文や雑誌記事を探せるウェブサイト等を案内しています。
3.3 新聞記事を探す
テーマに関する新聞記事を探す。新聞には、ニュースや解説が掲載されている。
(1)当サイト記載の朝日新聞クロスサーチの操作手順にしたがって、ログインする。
(2)キーワードを入力して [横断検索] を押す。
(3)検索結果一覧の一部が表示される。件数を押す。
(4)検索結果一覧が表示される。記事タイトルを押す。
(5)記事の本文が表示される。サムネイルを押すと、記事の画像が表示される。 *データベースを終了する際は、画面右上の [ログアウト] を押す。
(1)当サイト記載のヨミダスの操作手順にしたがって、ログインする。
(2)キーワードを入力して [検索] を押す。
(3)検索結果一覧が表示される。記事タイトルを押す。
(4)記事の本文が表示される。サムネイルを押すと、記事の画像が表示される。 *データベースを終了する際は、画面右上の [ログアウト] を押す。
(1)当サイト記載の日経テレコン21の操作手順にしたがって、ログインする。
(2)キーワードを入力して 検索ボタンを押す。*詳細検索をしたい場合は、左上のメニュー[記事検索]を押してください。
(3)検索結果一覧が表示される。記事タイトルを押す。
(4)記事の本文が表示される。サムネイルを押すと、記事の画像が表示される。 *データベースを終了する際は、画面右上の [ログアウト] を押す。
新聞記事を探せるデータベースやウェブサイトを案内しています。
3.4 調べ方がわからないとき
調べ方がわからない時やどのサイトを選んだらいいのかわからない時は、国立国会図書館の「リサーチ・ナビ」や「レファレンス協同データベース」でキーワード検索すると、調べものに役立つ資料・サイト・データベース等がわかる。
ステップ4 構成を決める
ステップ3で集めた資料を読んだら、以下の手順で構成を決める。
(1)レポートで最も伝えたいこと(主張)を1つの文章にまとめる。
(2)1の文章をもとに、書くべきことを短い言葉や文章にまとめる。
また、集めた資料から必要な文章やデータを選ぶ。
(3)2をレポートの基本構成(以下参照)に沿って並べ、アウトライン(見出しと概要)を書く。
レポートの基本構成は、 序論・本論・結論・文献リストからなる。
1. 序論
序論は、読者に向けて大まかに内容を伝える導入部分である。文字数はレポート全体の10~15%程度にする。主に以下のことを書く。
・問題の提起と背景(何が問題か、どんな事情があるのか)
・主張や結論の要点(何を明らかにするか)
・動機(なぜそのテーマを選んだか)
・目的、調査方法
2. 本論
本論は、レポートの中心部分である。文字数は全体の70~80%程度にする。
主張の根拠となる事実や専門家の意見等を示し、考察を繰り返しながら、問題の答えを導く。また、主張と異なる意見も示して批判的に考察する。
本論は2~3つに分けて見出しを作るとわかりやすい。
3. 結論
結論では、明らかになったこと(主張のまとめ)や今後の課題・展望を書く。文字数は全体の10~15%程度にする。
ステップ5 書く
ステップ4で作ったアウトラインに沿って、書きやすい部分から書く。
5.1 文章を書く
- 文末は「ですます」調を使わず、「である」調(「・・・である」「・・・だ」「・・・と考えられる」「・・・だろう」等)にする
- 1文は短め(30文字以内)にする
5.2 引用のしかた
他人の文章やデータを引用する場合は、以下のルールを守る。守らないと、盗用にあたり、犯罪(著作権の侵害)になる。
- 他人の文章と自分の文章とをはっきりと区別して書く(下記「引用文の書き方」参照)
- 出典を明記する(下記「出典の示し方」参照)
- 引用は必要最小限にする
- 自分の文章がメインで、引用部分は補足的にする (引用する文章はレポート全体の2~3割まで、図表は3~4点までにする)
- 文章をそのまま引用する場合
引用が短い時は、引用部分を「 」でくくる。長い時は、引用部分の前後を1行ずつ空け、行頭を2文字ほど下げる。引用部分は原文どおりに記載する。 - 文章を要約して引用する場合
要約に、著者の名字、文献リストの番号(※番号を付けない方式の場合は、発行年とページ)を記載する。
出典の示し方は、大きく分けて2種類ある。どちらかの方式に統一する。教員(提出先)の指示があればそれに従う。
・方式1:引用のあとに番号を付け、文献リストに同じ番号と出典を記載する
《例》佐藤は「英語学習において動画は高い学習効果が期待できる」と述べている[3] 。
《例》佐藤は、英語学習における動画の効果を高く評価している [3]。
・方式2:著者の名字・発行年・ページのみを書き、文献リストに詳しく出典を記載する
《例》佐藤(2018, p.93)は「英語学習において動画は高い学習効果が期待できる」と述べている。
《例》佐藤(2018, p.93)は、英語学習における動画の効果を高く評価している。
・図や表を引用する場合は図表の下に「出典:〇〇〇」を記載する。
5.3 引用・参考文献リストを作る
引用や参考に使った資料(文献)のリストを作り、本文の最後に記載する。 文献情報の書き方は学問分野等によって多少異なる。教員(提出先)の指示があればそれに従う。以下は一例である。
【図書の場合】
著者名(出版年)『書名』発行所
《例》櫻井準也(2014)『考古学とポピュラー・カルチャー』同成社
【論文の場合】
著者名(出版年)「論文タイトル」『雑誌名』巻(号), 掲載ページ
《例》濱西隆男(2010)「行政法における通則法等の役割1」『自治研究』86(6), 98-120頁
【新聞記事の場合】*データベースの場合はその名称も記載する
著者名※あれば記載 「記事タイトル」『新聞名』発行年月日 朝夕刊 版※地域版の場合 掲載面
《例》佐藤恵子「職場で音楽、仕事弾む!?」『朝日新聞』2013/8/23夕刊, 1頁, 朝日新聞記事データベース
【Webページの場合】*Webページは、書き換えられる可能性があるので、自分が見た日付を書く
作成者名「Webページのタイトル」 URL<参照日>
《例》川越市「令和4年版統計かわごえ」https://www.city.kawagoe.saitama.jp/shisei/toukeidata/toukeikawagoe/R4i…<2023年9月19日参照>
【生成系AI(ChatGPT等)の場合】*レポート出題者が生成AIの利用を認めている場合に限る
生成系AIツール名, ”入力した文章”, 参照日
《例》ChatGPT, ”初めてCGが使われた日本映画は?”, 2023年9月19日
ステップ6 仕上げ
書き終わったら、何度か読み直して、誤りや問題がないか確認する。時間が経ってから読んだり、ほかの人に読んでもらったりするとなお良い。
- 誤字脱字がないか
- 文脈はつながっているか
- 序論の内容と結論の内容にズレがないか
- 語句が一貫しているか
- 引用した文献を明記しているか
- 文体は「だ・である調」(常体)と「です・ます調」(敬体)が混在していないか
- 文字の大きさやフォントはそろっているか
- 必要事項(提出日、講義名、教員名、課題名、タイトル、学部・学科名・学年、学籍番号、氏名)を記載したか
【問い合わせ先】尚美学園大学メディアセンター 相談フォームまたはメール(kg-lib@s.shobi-u.ac.jp)でお問合せください。